ハッシーこと橋本崇載八段のNHK杯準決勝「二歩」事件一部始終。前振り、激辛坦々麺、終局後のニフティ先輩のコメントまで

2015年3月8日に放送された第64回NHK杯テレビ将棋トーナメント準決勝第2局(▲行方尚史八段VS△橋本崇載八段)は、橋本八段の「二歩」によって決着がつきました。

本記事では、このハッシーの愛称で呼ばれる橋本八段の「二歩事件」について、前日からの前振り、対局前インタビュー、そして「二歩」の瞬間、その後の解説者や聞き手の反応まで、たぶんどこより詳しく一部始終をお伝えしたいと思います。

前振り

まず、橋本崇載八段は前日3月7日の夜に、ツイッターで以下のようにツイート。

「何やらトンデモない事が起きる」という壮大な前振り。

もちろんNHK杯は録画であるため、橋本八段はどんな事件があったのかは知っています。

こうしてハッシーファンはドキドキしながら放送を迎えることになりました。ただ、多くのファンは「また対局前のインタビューでなんかやらかしたんだろ・・・」ぐらいにしか思っていなかったはずです。

駒を並べる時にカメラ目線

NHK杯では対局者が対局前に駒を並べるとき、司会(聞き手)がそれぞれの対局者のプロフィールを読み上げます。この日の橋本八段はプロフィールの読み上げのとき、チラリとカメラ目線に。何かが起こる予感がしました。

行方尚史八段対局前インタビュー

そしてまず先手の行方尚史八段の対局前インタビュー。行方八段は、橋本八段の印象を聞かれ

「そうですね、いや、インタビューで何を言われてるのかわかんないので緊張します」

と、橋本八段恒例のインタビューを警戒する構えを見せました。

ハッシー対局前インタビュー

お待ちかねの後手・橋本八段のインタビュー。「あれよあれよという間に準決勝まで来て、準備する時間がなかった」と言い訳して普通のインタビューに終始するかと思いきや

「私は今日はいつもの人間の甘さを出さずにですね、激辛流で行きたいと思います。激辛坦々麺で行きたいと思います、はい」

と謎のボケ。激辛流といえば丸山忠久九段でしょうか?「坦々麺」のボケの真意はわかりませんでした。それから「準決勝に進んだメンバーのなかでは、私は実績は一番劣る」としながらも

「私は一番華のある棋士なので、ぜひとも優勝して将棋界を盛り上げたいと思います」

と述べました。

解説者、聞き手の反応

この日解説だった木村一基八段は「大変頼もしいですね。華のあるというのは大変大事なこと」「ぜひ、激辛坦々麺でね、いい将棋を見せていただきたい」とコメント。またタイトル戦出場の清水市代女流六段に代わって聞き手を務めていた矢内理絵子女流五段も「今回のインタビュー、すごく気合を感じましたね」と述べました。

ただ、木村一基八段は「誰かさんのモノマネが出てくるのかと楽しみにしてたんですけど」とも述べ、期待とは違った方向だったことを匂わせました。

角交換四間飛車

戦型は、後手の橋本八段が角交換四間飛車に。

詳しい棋譜は、NHK杯テレビ将棋トーナメントのホームページでご覧ください。

長考の末に

行方尚史八段は91手目、橋本玉の近く6四に金を出ました。

その手に対して橋本八段は残っていた考慮時間2回をすべて使って(NHK杯にしては)長考。

ついに最後の40秒・・・50秒・・・

実はこの秒を読んでいた黒沢怜生四段は、本対局でNHK杯の記録係を卒業。放送前にはこのようなツイートもしていました。

2012年から務めたNHK杯での最後の記録。いろんな思いがこみ上げてくる秒読み。

黒沢怜生四段「50秒・・1、2、3、4、5、6、7」

橋本八段、駒台の歩を取る。

黒沢怜生四段「8」

橋本八段、6三に歩を打ち付ける。

しかし盤上の6七には86手目に自ら打った歩が・・・。

二歩

この瞬間、先に行方尚史八段が「あっ」と声を出し、ハッシーも「あっ」と続きました。

行方八段は頭を抱え、目を押さえる仕草。ハッシーはばつが悪そうに舌をぺろり・・・。

読み上げの室谷由紀女流初段は

「まで、92手を持ちまして行方八段の勝ちとなりました」

と機械的に読み上げました。

そしてこの二歩がNHK杯での最後の記録となった黒沢怜生四段とともに、一礼しました。

二歩の後

負けを告げられたハッシーは息を吸い込み「いやひどい、まあしかし・・・」と声にならない声をあげ、行方八段も「あ・・・」と声にならない様子でした。

矢内理絵子女流五段、木村一基八段は冷静に

聞き手の矢内理絵子女流五段は「はい。この局面で、こう、歩を打ってしまったんですけど・・・」、木村一基八段は「あの、ご覧のとおりね、二歩で反則負けということで」と冷静に解説。

木村八段によれば、形勢は少し行方八段のほうが良かったとのこと。

感想戦

ハッシーが二歩を打ったのは11時42分。残酷にも、12時の番組終了まで感想戦の時間はたっぷり残されていました。

脇息によりかかり、呆然とする橋本八段。

木村八段と矢内女流五段が対局場に訪れると、橋本八段は

「いやすみません、失礼しました。いや、ちょっと最後は指す手ないんですけど、いやーちょっともう、んーいやーんーしかし、いやー」

と述べました。

ニフティ先輩の言葉

この日は第40期棋王戦5番勝負第3局(渡辺明棋王VS羽生善治名人)がニコニコ生放送(解説・深浦康市九段、聞き手・藤田綾女流初段)で中継されていたのですが、そこでもこの二歩事件が話題に。

特に、現地にいた豊川孝弘七段と生電話(いわゆるティロフォン)をつないだ際、解説の深浦康市九段が豊川七段にこの件について質問。

豊川七段もNHK杯で二歩を打ったことがあり(2004年6月20日)、ある意味ハッシーの先輩。これ以来、豊川七段は「ニフティ」の愛称で呼ばれることがあります。

そんなニフティ、現地ではハッシーのNHK杯二歩事件を観ていなかったようですが「いい将棋で二歩打ったら悔しいけど、形勢どうだったのかな」と自らの体験を交えて述べていました。

こうして、NHK杯に新たな伝説が生まれました。

決勝は森内九段VS行方八段

なおこの結果により、決勝は森内俊之九段と行方尚史八段によって行われることになりました。

長々とした文章を最後まで読んでいただきありがとうございました。

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