羽生善治名人が「機械との対戦に意味はあるのか?」という質問に見解を述べる

羽生善治名人が週刊東洋経済の2016年新春合併号(12/26-1/2)のインタビューに登場していますので、一部をご紹介します。

中吊り広告で「勝ち続ける男はITに頼らない」と書いてあるあれです。インタビューの見出しでは「分析にソフトは使わない 自分のアイデアを信じる」とも書いてあります。

「機械との対戦に意味はあると思うか?」といった質問にも答えられています。

機械との対戦に意味はあるのか

インタビューは見開きで2ページ。カラーで、羽生名人の横顔のアップの写真もあります。大きめの写真です。詳しくは東洋経済を購入してみてください。

インタビューの内容は、プロ棋士としてのモチベーションの話から始まり、年齢を重ねて変化したこと、定跡を疑う話など。後半はコンピュータの話で、その内容は、ソフトを活用することが棋士のスキルとして求められるようになっていきていること、しかし羽生名人自身は「分析で使うことはほとんどない」ことなど。

「機械との対戦に意味はあると思いますか?」という興味深い質問もされています。羽生名人の答えは以下です。

もしやるとなったら、いかにしてソフトの特徴をつかまえるかが中心になる。でもそれは将棋が強くなるということではない。やってもしょうがないとまでは言わないが・・・・・・。

セカンドオピニオン

ただ、羽生名人はソフトそのものを否定しているわけではありません。続けて、現段階でのソフトの活用方法について以下のように述べています。

現段階でソフトのいちばんいい使い方は、お医者さんのセカンドオピニオンのような形だと思う。

セカンドオピニオンというのは、患者が主治医ではない第三者の医者にも意見を求めること(またはその意見をそのもの)を意味する医療用語。よりよい判断をするために行われます。

将棋の場合、「患者」はある課題の局面であり、その治療にあたる「主治医」が自分(プロ棋士)、そして「第三者の医者」がソフトとなると思います。ソフトは人間のように常識にとらわれることがないため、セカンドオピニオンとして適切だということだと思います。

ただ、将来的には機械が出した答えが人間に理解できなくなるのではないか、とも話されてます。そうなるとセカンドオピニオンとしての使い方はできなくなるのかもしれません。だからこそ「自分のアイデアを信じる」と。詳しくは週刊東洋経済をご覧ください。780円です。

訓練が必要になる

羽生名人は、ソフトとの対戦にはあまり意味はない、ただし活用方法はある、というお考えだと思います。

以前の記事でも書きましたが、人間が人間と対局する時と、コンピュータと対局する時では感覚が違って慣れるために相当の時間が必要となるようです。実際、将棋電王戦FINALではコンピュータと対戦する棋士が数ヶ月間コンピュータに向き合い、永瀬拓矢六段は一時研究会を全部キャンセルしたほど。ソフトの特徴をつかまえるのに時間も労力もかかるようです。

同じような話ですが、行方尚史八段はもしコンピュータと戦うなら「トレーナーをつけて訓練する」と話されていました。また、モチベーションの問題もあるようで、郷田真隆王将は「コンピュータと戦うために修行を積んできたわけではないので、対人間と同じ気持ち(真剣勝負)になれるかと言われればそれは難しい」とも述べています。

続・もし電王戦に出場したら?

羽生名人は、優勝者が電王戦で最強コンピュータソフトと戦う「第1期叡王戦」にエントリーしませんでしたが、もしエントリーしていたら最有力の優勝候補は自分である、という考えがあったかもしれません。

意味はなくても意義がある?

ちなみに、叡王戦、電王戦を主催するドワンゴの川上量生会長は以前「コンピュータと人間の戦いに、如何に意味がなくて、如何に意義があるかを電王戦が教えてくれる」というふうな話を雑誌でされていました。

前回までの電王戦では、出場棋士は立候補や担当理事からの声掛けなどで選ばれていました(と思います)。希望しても選ばれなかった棋士もいるかもしれないですし、そういう意味でプレッシャーもあったと思います。

2016年春の第1期電王戦に出場するのは、叡王戦を優勝した棋士ということで、実力で代表の座を勝ち取ったといえるのでプレッシャーは緩和されるかもしれません。逆にこの電王戦に意義を見出していくことは必要になるかもしれません。第1期叡王戦の優勝者は山崎隆之八段です。

山崎叡王は対ソフト戦にどういう意義を見出し、どう戦うのか。私個人的には、電王戦においては対局の結果もそうですが、山崎叡王の準備とか戦略とかに興味ありです。

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コメント

  1. 長さん より:

    東洋経済でインタビーを受けている、当の羽生善治名人が、任意のソフトに適宜負けると。「日本将棋連盟には、崖から転げ落ちるような衝撃が走る」との報道が以前から有ると、私は認識しています。

  2. 管理人 管理人 より:

    コメントありがとうございます。
    以前がいつかはわかりませんが、現在ではそれほどの衝撃じゃないのではないでしょうか。勝敗は条件次第ということもありますし。またこのインタビューによれば対戦の実現性がなさそう、あったとしても「やってもしょうがないとまではいわないが・・・」というモチベーションですからね。

  3. 駒柱 より:

    人間と対戦しないとソフトの棋力はわからないし、ソフトの棋力がわからなければセカンドオピニオンとして役立てることも難しくなるのではないでしょうか。

    • 管理人 管理人 より:

      コメントありがとうございます。記事中でいう「対戦」というのは真剣勝負とか少なくとも人前での対戦のことだと思います。少し喩えは違うかもしれませんが、師匠が弟子をとる時に実力を確認するために指すことは、この記事でいう「対戦」とは別物だと思います。
      また別の手段によってもソフトの棋力を確認できると思います。コメントありがとうございます。

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