羽生善治棋聖が見せた衝撃の反省力。打った歩を直後に成り捨てる▲6二歩成、感想戦では「まあ、ちょっと恥ずかしいんですけど」

2015年7月16日の第86期棋聖戦5番勝負第4局では、羽生善治棋聖が打った歩を直後にタダで成り捨てるという、プロ棋士の対局ではめったに現れない明らかに失敗を認める手を指しました。

この手が功を奏したのか、羽生棋聖は本局を制して防衛に成功。詳しくは以下の記事をご覧下さい。

棋聖戦第4局、反省し鬼と化した羽生善治棋聖が防衛

詳しくは上の記事、または棋聖戦中継サイトに書かれていますが、衝撃の手順はこれです。

まず羽生棋聖が貴重な1歩を打つ。

kifu20150715-69手

豊島七段が金を引く。

kifu20150715-70手

羽生棋聖が打ったばかりの歩を成り捨てる!!

kifu20150715-71手

鈴木大介八段の総括と、上記の局面の棋譜コメント。

この記事では、感想戦、インタビュー、棋士や女流棋士のツイートから、事件を振り返ってみようと思います。

感想戦で羽生棋聖「恥ずかしい」

まず棋譜コメントから。感想戦で羽生棋聖は例の局面について以下のように述べたと書かれています。

△6一金と引かれて、5三を取っても何の響きもないことに気が付いて。本譜はちょっと恥ずかしいのですが仕方がないと

ニコ生中継で

この感想戦はニコニコ生放送で中継されていました。せっかくなので、上のコメントの部分をもうちょっと正確に書きます。

羽生棋聖「そうですね、これ(5三)取っても何の響きもないんで、えええ。ちょっと、いや、それに気がついてまあ、ちょっと恥ずかしいんですけど(と言いながら歩を成り捨てる)。(10秒以上の沈黙の後、何か言われて)あああ、いや、まあ、でも、いえ、そうですね、さっきの(感想戦の中で示された)順になっていたらやっぱり一歩の、一歩はでかいですよね、メチャクチャに。いや、本譜もよく分かんないですけど」

インタビュー

終局直後のインタビューでは以下のように答えています。

―― 本局の▲6二歩成について、羽生棋聖は感想戦で「恥ずかしい」という言葉を使っていましたが、それでも歩成りを決断した心境を教えてください。
羽生 その局面では歩成り以外に手がありませんでした。取られても大損で、あの局面はかなりダメというか、本譜のようになると思っていたので、仕方ないという気持ちで指していました。

将棋界に衝撃

この事件は、やはり棋士、女流棋士の方々にとっても衝撃だったようです。

▲6二歩成が指された直後の香川愛生女流王将。

勝負の「行方」は「ゆくえ」と読みます。

室田伊緒女流二段。棋士室では・・・。

飛び上がる三枚堂達也四段。

中継記者の銀杏さん。

先月の新聞記事とは、羽生棋聖が講演したときの記事。そこにはこう書かれています。

1度ミスをすると続きやすいのは、気持ちの動揺に加えて「ミスをする前より、局面の難易度が上がっているため」と指摘。反省や検証は後回しにして「状況の打開に集中することが大切」と強調した。

反省力、見習うべき

終局後、立会人の田中寅彦九段は「反省力」と表現。

大平武洋五段。

あの竜王のことですね。大平五段はブログでも、

この手順を見た時は何かの間違いかなと思いました。

と述べて、この手に至った理由を推察しています。

挑戦者の豊島将之七段とともに関西若手四天王の一角である村田顕弘五段。「見習うべき姿勢」と。

伝説へ

羽生棋聖のこの成り捨ては伝説となるかもしれません。「まあ、ちょっと恥ずかしい」としつつ、反省して勝利。

田中寅彦九段のツイートにあったように、これで羽生棋聖は棋聖戦8連覇となり、大山康晴十五世名人の7連覇を抜いてトップに。さらには加藤一二三九段の通算勝利数にあと1勝で並ぶことにもなります。

最後に、感想戦での両対局者の表情をご紹介します。日本将棋連盟モバイルのツイートから。

怖いけど好き。野辺記者の気持ち、わかります。

頭の中で、羽生棋聖の「えええ。ちょっと、いや、それに気がついてまあ、ちょっと恥ずかしいんですけど」という言葉をリピートしながら、顔を抑えている写真を閲覧するとさらに楽しめるかもしれません。

以上、ありがとうございました。

将棋ワンストップをご覧いただきありがとうございます。ぜひシェアをお願いします

記事の追記や更新の通知はツイッターで行います。フォローをよろしくお願いします!

スポンサーリンク

コメント

  1. よしお より:

    悪いと思ったら非を認めて謝る
    、というのは、なかなか凄いですねえ

    それが出来ない大人ばかりですから

    己のメンツがなんだとか、相手の立場がどうだとか…

    少し考えすぎでしょうか…w

    でも、いい成り捨てだなあと思います(^-^)

    • 管理人 管理人 より:

      コメントありがとうございます。

      そうですね、特に将棋において間違いを認めるというのは、後世まで残る棋譜に間違いが記録されるということですし。自分の形勢判断を相手に晒すことにもなりそうですし、勇気のいる行動だと思います。メンツなどのこともあったかもしれません。私も素直に謝れない人間の一人ですが、それだけにこれは衝撃でした。
      本当に、伝説的な成り捨てになりそうです。

      コメントありがとうございます。

  2. ひろ より:

    鬼が……

    と、いろいろたとえを考えて気付いたのは、羽生さんを「鬼」と称することに抵抗なく、むしろ快感があったことでした。

    すごいと思うと同時に、だれか!とも思いました。

    • 管理人 管理人 より:

      コメントありがとうございます。

      将棋界においては「鬼」は褒め言葉の1つというイメージを持っていました。順位戦B1を鬼の棲家と言ったりしますし。

      ただ、羽生棋聖は鬼以上の何かかもしれません。棋力と強靭な精神力。
      恐れ入りました。コメントありがとうございます。

  3. ひろ より:

    数日前にここの存在を知ってから読みまくっています。とても面白いです‼
    羽生さんが島竜王に挑戦した時、自分の指し手の誤りを認める1手損な手を指した、と河口俊彦さんの著書にあった記憶がありますけど、若手の当時と違って第一人者にしてのこの潔い態度は、凄いの一言です。

    • 管理人 管理人 より:

      コメントありがとうございます。

      へえ!情報がありがとうございます。やっぱり若の頃からそういうことなんですね。
      間違えたからと言って、認めずにもっと悪くするより、認めてその状況での最善を指すというのは、他の方もコメントされていましたが、色々な世界に通じることでしょうね。間違えを認めない上司。あなた様の間違いではありませんよ私が間違っておりましたしかしですねここをちょっと、と面目を保たせる部下。面倒くさい。

      面白いと言っていただきましてありがとうございます。これからも楽しんでいただけるよう、運営してまいります。よろしくお願い致します。

  4. ひろ より:

    コメントありがとうございます。コメントの勢いでサンケイ将棋フェスティバルに行って来ました!
    ラッキーにも、応援している郷田王将にサインを目の前で書いてもらい、王将が羽生棋聖に勝つのも見ました!!
    横歩取りと思いきや相掛りに進み、解説陣がちょっと焦っていたのが面白かったです。

    • 管理人 管理人 より:

      再コメントありがとうございます!

      楽しそうなイベントだったみたいですね。
      やっぱり生の棋士はいいですよね。しかもファンの先生にとは。
      私は年に何回かしかイベント行けませんけど、どれもいい思い出となっています。
      そして現地の解説がまたいいんですよねぇ。すごくわかります。ベテラン棋士の名人芸みたいな解説が好きです。

      コメントありがとうございます。

  5. ひろ より:

    私はイベント初参加でした。郷田王将を目の前にした時は、迫力を感じて緊張してしまいました。「夢想」と書いていただきました。
    解説は鈴木八段と山口女流の息のあったやり取りで楽しかったです。

  6. ひろ2 より:

    2番目にコメントされた「ひろ」さん、ごめんなさい。気づかずに同じ名前で投稿してしまいました。申し訳ありませんでした。

  7. 管理人 管理人 より:

    2人目のひろ様:
    管理人です。大丈夫です。1人目のひろ様は常連様で、私からは見分けがつきました。
    確かに少し混乱するかもしれませんので、ひろ2様でもよいと思います。

    郷田先生、さぞ格調高かったでしょうね。そして豪華な棋士・女流棋士の方々が参加されたようで羨ましい。私も鈴木八段と山口女流、いずれも好きですよ、お話も楽しいですよね。
    コメントありがとうございます。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。