第1期叡王戦は山崎隆之八段が優勝。初代叡王として第1期電王戦に出場へ

2015年12月13日に行われた第1期叡王戦決勝3番勝負(郷田真隆九段vs山崎隆之八段)第2局は、後手の山崎隆之八段が勝利。

これでシリーズの対戦成績は山崎八段からみて2-0となり、優勝が決定。山崎八段が初代叡王となり、2016年春開催の「第1期電王戦」に出場することが決定しました。

山崎八段の棋戦優勝は2009年の大和証券杯ネット将棋・最強戦以来、6回目。

詳しい棋譜は、叡王戦中継サイトをご覧ください。

この記事では第2局の流れを簡単に説明します。第1局に続き、第2局も逆転での勝利でした。

山崎ワールド

戦型は横歩取りに。

20151213-18手

序盤からお互いがふんだんに時間を使う展開。その中で、後手の山崎八段は幾度と無く独特の指し回しを見せました。山崎八段の「誰も真似できない」と言われる将棋が出ました。

例えば、飛車先に歩を打って交換した後、8二まで引いた手。せっかく浮いた飛車をもとに戻すような。

20151213-36手

上記の手は、谷川浩司九段が「(タブレットの棋譜の)入力ミスかと思った」というぐらい意外な一手。飛車への当たりが強いのを避けたか。

終盤の入り口ぐらいに指されたのが、68手目、じっと端歩を突く△9四歩。

20151213-68手

一手パスに見える手。直前に先手の郷田九段がチャンス見送ったような手を指していたのですが、この一手は再び相手にチャンスを与えるような手。

さらには以下の78手目、△6二金。

20151213-78手

ここでは代えて△5一桂で、先手の攻めを受け切れると思われていたところでした。ニコニコ生放送で解説していた深浦康市九段も驚きの声をあげた手でした。

ニコニコ生放送では、第3回電王トーナメントで優勝し、初代叡王との対戦が決まっているコンピュータ将棋ソフトPonanzaが評価値を表示していたのですが、序盤の△8二飛はともかく、△9四歩や△6二金といった手には厳しい評価(後手の評価値が下がった)をしていました。

また終盤で逆転

ほぼ互角のまま終盤戦へ。終盤は一転して一手一手指すごとに、形勢が大きく入れ替わるような将棋になりました。

20151213-108手

上図のあたりでは、解説では郷田九段が勝勢と言われていました。感想戦でも郷田九段の勝ちとされました。ただ、第1局と同じように、秒読みに追われた郷田九段に何度かミスが出たようです。

Ponanzaの評価値は1手進むごとに大きく先手に振れたり後手に振れたりして、途中で故障したのか「調整中」になっていました。

118手目の以下の局面までは、郷田九段に勝ちがあったようですが。

20151213-118手

ただ、次の一手、▲4五桂ではっきりと逆転。

20151213-119手

Ponanzaの評価値も大きく後手に振れ、以降後手玉には詰めろがかからなくなりました。以下の局面で先手が投了。

20151213-126手

山崎隆之叡王が誕生しました。両者、持ち時間は使いきっていました。

電王戦へ

山崎叡王は本局の終了後、来春に行われる「第1期電王戦」をどのように戦いたいか聞かれ、以下のようにコメントしています。

山崎叡王「すごく神経を使う戦いで、やっぱりどこまでも踏み込まないと厳しい。本局のような中盤戦(終盤戦と言ったかもしれない)の隙を、弱点を出さないように踏み込んで行くしかないかなと思っています」

電王戦は、叡王戦の優勝者と電王トーナメントを優勝したコンピュータ将棋ソフトが戦う2番勝負。既にPonanzaが第3回電王トーナメントを制して電王戦出場を決めています。

本局の棋譜を見ていただければわかりますが、山崎叡王、郷田九段ともに終盤までにほとんど持ち時間を使いきっています。中終盤で隙を見せないためには、これまでの電王戦同様、時間の使い方がポイントとなりそうです。ただ、第1期電王戦の持ち時間はこれまでになく長い各8時間、2日制ですので、それがどう影響するか。

第1期電王戦ルール詳細。ソフト開発者に投了の権利あり、棋士は遅刻ペナルティなし、2日目夕食あり

山崎叡王は、叡王戦決勝のPVで「コンピュータは強いな、悔しいなと思いつつ、目を背けていた」とも述べていましたが、いよいよ戦う時が来ました。

勝負の行方(ゆくえ)は?

これまでの電王戦の対戦からして、電王戦では人間側が不利、あるいはアンチコンピュータ戦略が必須となるという意見も多いようですが、山崎叡王の弟弟子である糸谷哲郎竜王(当時、現在は八段)は、将棋年鑑2015の巻頭インタビューで以下のように述べています。

質問者「コンピュータには(アンチコンピュータ戦略でない方法で)まともに勝つのは難しいのか?」

糸谷竜王「そんなこともないと思っています。(中略)秒読みというルールは、人間に終盤で間違えることを強要しているものですので、持ち時間が長ければ長いほど人間が有利になるでしょう」

糸谷竜王が上記発言の根拠としているのは、例えば森下卓九段が挑戦し、引き分け(判定勝ち)となった電王戦リベンジマッチ。詳しくは第1期電王戦ルールの記事(再掲)に書いてありますが、2日制であればリベンジマッチと近い持ち時間になりそうです。

注目の第1期電王戦2番勝負は、2016年春に開催されると発表されています。

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