指掛けの電王戦リベンジマッチは指継がず、森下卓九段の判定勝ちと発表。ニコ生アンケート結果は良かった85%

2014年12月31日から2015年1月1日未明にかけて行われた電王戦リベンジマッチ(森下卓九段vsツツカナ)は、指掛けとなり、後日指継がれるとされていましたが、2015年2月16日、日本将棋連盟の片上大輔理事より、この指継ぎを行わないとニコニコ生放送で正式発表されました。

これは日本将棋連盟の理事会で決定されたということです。

そして、「森下卓九段の判定勝ち」という結論も発表されました。

指掛けの経緯と、指継がない理由

1月1日に指掛けの判断をしたのは、対局の立会人だった片上大輔理事。判断の理由は朝5時半になっても終局が見えず、スタッフや森下九段のことを考えてとのことでした。

そして、2月16日の発表によれば、指継がない理由は以下の様なことでした。

理由1 終りが見えない

片上大輔理事によれば、ドワンゴの協力のもと、指掛けの局面からコンピュータ(ツツカナだと思われる)同士の対局を100局実施したということです。

その100局の対局のうち、長いものではあと300手~400手を超える対局もあったとのこと。

単純にあと400手を1手10分で指せば、4000分、つまり約67時間、つまり約2.8日かかることになります。

理由2 森下卓九段の圧倒的優勢、判定勝ちといえる

上記のコンピュータ同士の対局では、100局の対局全てで森下卓九段側が勝利。

勝率100%という圧倒的な優勢で、森下卓九段の有利は揺るぎなかったという結論です。

また、この発表の場では実際に佐藤康光九段と中村太地六段が指掛けの局面から50手ほど進めてみるということをやっていました。この将棋は相入玉となり、点数により森下九段側の勝ちとなりました。

森下九段は、指掛けの局面からもう少し前の段階で寄せるチャンスもあったという見方を示しましたが、万が一負けるとすれば「寄せ間違い」であり、安全に指した結果指掛けの局面に至ったとのことです。

これらにより、「森下九段の判定勝ち」という結論が出されました。

理由3 森下卓九段のモチベーション

このリベンジマッチは、人間側に「継ぎ盤」(検討用の盤)が与えられましたが、元々、「継ぎ盤を使う」というのは提案した森下卓九段にとっても「辛くて」「屈辱的で」「恥ずかしい」ルールだったとのこと。

これを再び使ってやるのは「苦痛」であると、理事会、片上理事に森下卓九段から申し入れたということが明かされました。

証明された森下理論

そもそも、このリベンジマッチの「継ぎ盤使用」「秒読み1手10分」というルールは「プロ棋士がいい将棋をしても、ヒューマンエラーによってコンピュータに負けてしまう」「つまり、ヒューマンエラーをなくせばプロ棋士はコンピュータ勝てる」という森下理論に基づくもの。

今回、指掛けの局面で大優勢となったことにより、この理論は証明され、森下卓九段も「責任は果たせた」と話していました。

開発者の見解

今回の発表の場には、森下卓九段の対局相手であったコンピュータソフト・ツツカナの開発者である一丸貴則さんは都合により出席されませんでした。

ただ、現在の「電王」であるAWAKEの開発者で元奨励会員でもある巨瀬(こせ)亮一さん、および前「電王」であるponanzaの開発者である山本一成さんは出席。

巨瀬さんは「まったく森下九段が負ける要素は無く、ツツカナの評価値(自らが不利)からも、妥当な結論」、山本さんは「判定は慎重にやっているので(結論は問題ない)」とコメントしていました。

次はあるのか

ただ、山本さんは森下九段VSコンピュータソフト、ひいては人間VSコンピュータソフトの将棋を継続することにこだわりがあるようで(電王戦は次回がFINAL)、「(人間が全力を出せる)継ぎ盤を使わないのはもったいない」「継ぎ盤は恥ずかしいというが、森下九段はプロ棋士である前に人類なのだから」と、まだやってほしそうにいろいろと森下九段に疑問・質問を投げかけていました。

森下九段は、やはり「いまだに、これ(継ぎ盤、1手10分でコンピュータと対局)をやってよかったかわからない」「若い時にやれと言われたら断っていただろう」「他のプロの目もある」と、(おそらく)やんわりと断っていました。

自戦解説は森下九段の発案

という感じの発表会だったのですが、最後にちょっと面白い話が聞けました。

森下九段は、リベンジマッチの対局中に、対局中の局面についていろいろつぶやいて解説したり、継ぎ盤を視聴者にもわかりやすく動かしたりしてくれていて、観ている側にとっては大変ありがたかったのですが、あの「自戦解説つきの対局」は森下九段自身の発案で、意識的に「盛り上げるため」にやっていたとのこと。

というのも、森下九段は事前にツツカナと実験対局をしており、その結果は3戦全敗。それでもし本番でも負けようものなら・・・という思いがあったようです。

森下九段の思惑通り、ニコニコ生放送のコメントは大変盛り上がりました。自戦解説のなかから、「トルシカナイ(取るしかない)」「トッテカラカンガエヨ(取ってから考えよう)」という名言も生まれました。大変満足度の高い大晦日、元旦でした。

ニコ生アンケート結果

この「指継がない」「森下九段の判定勝ち」という発表が行われたニコ生の、放送後のアンケート結果は以下のとおりでした。

1.とても良かった 69.3%
2.まぁまぁ良かった 15.8%
3.ふつうだった 5.0%
4.あまり良くなかった 2.6%
5.良くなかった 7.3%

この数字をどうみるか。

ふつうの将棋放送に比べれば、かなり低い数字であり、この「指継がない」「森下九段の判定勝ち」という結論に不満を持っている方も多かったことが伺えます。

ただ、8割以上の人は、ある程度の納得があったということも言えそうです。

個人的には、大晦日と元旦の十数時間は大変面白く、また感動的でもあり、充実した時間でした。リアル車将棋とはまた違ったドラマがあって、またあのような機会がないかなぁ・・・と、思いました。

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