将棋電王戦FINAL第4局、敗戦の村山慈明七段「▲3六飛は研究していなかった」「内容は完敗」

2015年4月4日に開催された将棋電王戦FINAL第4局は、先手のコンピュータソフト・ponanzaが後手のプロ棋士・村山慈明七段に勝利。

対局の経過は以下の記事に詳しく書いてありますのでご覧ください。

将棋電王戦FINAL第4局、ponanzaが「将棋の定跡に重大な問題提起」した構想で村山慈明七段に完勝

この記事では本局の進行について、村山慈明七段がどこまで研究していたのか、また誤算があったのはどこだったのかを、対局後のご本人の話を交えまして記したいと思います。

「相横歩」は用意の作戦

終局後のインタビューで、村山慈明七段は本局の戦型「相横歩取り」について「用意の作戦だった」と発言。プロ棋士間ではめったに指されることのないこの戦型について「奇襲のような作戦」であるとしつつ「ponanza相手に正攻法で、後手番で堂々と受けに回るのは厳しいので選んだ」述べていました。

村山七段によれば「角換わり」と「相横歩取り」を半年前から同時並行的に研究し、「相横歩取り」に絞ったのは1ヶ月前だとのこと。

飛車角総交換なら勝率は悪くない

相横歩取りを選んだ理由は、本譜の進行だった後手の18手目△7六飛に先手・ponanzaが▲7七歩と打った局面以降で「(19手目)▲7七歩と▲7七銀の2通りが定跡としてponanzaに入っているというのを聞いていた。(▲7七歩から)激しい変化になればだいぶ戦いやすいのかな」と考えたためだとのこと。

「激しい変化」とは飛車角総交換になるような将棋で、この将棋になれば「結構、勝率も悪くなかった。この展開になれば一番いいなと思っていた」ということでした。

実際、本譜は19手目にponanzaが▲7七歩を選びました。ここまでは、村山七段の想定内だったことになります。

研究不足だった

しかし、その後の21手目▲3六飛が予想外だったようで、村山七段は「事前の練習対局では、ほとんど▲同飛車と取って(自分の勝率が良い)激しい展開になることが多かった。本局は▲3六飛で持久戦になってしまった。▲3六飛はあまり・・・練習でも指されなかった手で、想定していない手で、研究していない形になってしまった」と発言。

この▲3六飛は森下卓九段が「ありえない」「子供の頃からの、将棋はこういう風に考えるんだということが覆る」と言い、佐藤康光九段が局後に「かなり重大な問題提起」と言った手。詳しくはこちらの記事で

村山七段は「かなり研究したつもりだったが、予想しない手があったのでは、研究不足ということになってしまいますかね」とうなだれました。練習でも現れない、将棋としても常識はずれのこの手を、村山七段は予想しきれなかったようです。

厳しい千田翔太五段

一方、現地で大盤解説をしていたコンピュータ将棋に詳しい千田翔太五段は、この村山七段の発言について「(あの局面では▲同飛車か▲3六飛かの)2択なので、いくら可能性が低くても▲3六飛の順も研究しておかなければいけなかったのかな、というところがあります」とコメント。

おお・・・!!さすが2013年のプロ入りからわずか2期で順位戦C級2組を突破し、王位戦の挑戦者決定リーグにも進出(しかも同リーグで2連勝中)した千田五段。厳しいですね。

ただ千田五段は「▲同飛車で後手が良ければ、▲3六飛も研究してるはず。▲同飛車が相当難しかったから、仕方なかったのかな」とも述べていました。

完敗

結果的に、▲3六飛で持久戦となり、力戦となった中盤。コンピュータソフトへの一般的な対策として「ソフトが得意な中盤を飛ばす」ということがありますが、そうはならず、ソフトが力を発揮できる展開となりました。

この展開に対する研究の不足もあり、村山七段は「自信のある局面、いけるなと思った局面はなかった。内容的にも完敗」と述べていました。

棋風、変わったね

対局後の記者会見では「電王戦に出場したことでの収穫は?」という質問がありました。

これに村山七段は「ponanzaが強くて、練習対局での勝率が1割、2割・・・1割あったかどうかとうぐらいだった。自分とponanzaの将棋は全く違う。自分は受け、ponanzaは攻め。ponanzaの攻めから結構学んだ」とコメント。

さらに「公式戦で指す時も、自分がponanzaの影響を受けてるなと感じている。研究会やっていても『村山君、結構、棋風変わったね』と言われたこともある」と述べ「ponanzaにかなり、引き上げてもらっているなと感じる。それが収穫だった」と語りました。

研究会で「棋風変わったね」と言ったのは誰なのでしょうか。村山七段は羽生善治名人とも一緒に研究会をしていますが・・・。

引き上げてもらった

将棋界に「序盤は村山に聞け」という言葉があるほどの、序盤研究の最先端を行く村山七段をして「棋風が変わった」「引き上げてもらっている」と言わしめたponanza。

対局を見守った開発者の山本一成さんは局後の記者会見で「勝ててとっても嬉しいです」「ponanzaの力が出る将棋だった」と述べていました。

そして以下のようにツイート。

村山七段も収穫になったといいますし、またもしponanzaが違う展開を選んでいたら違う結果になったのかも、と思うと、人間VSソフトの対局、まだまだ観たい気がします。

名残惜しいですが、これで、電王戦も残すところあと1局となってしまいました。

お互いに2勝をして迎える将棋電王戦FINAL第5局は、プロ棋士・阿久津主税八段VSコンピュータソフト「電王」AWAKEによって4月11日に開催されます。

以上、ありがとうございました。

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