第3回将棋電王トーナメントはPonanzaが逆転で優勝、第1期電王戦に進出。nozomiを2-1で破る

2015年11月21日~23日に開催された第3回将棋電王トーナメントは、本命と見られたPonanzaが優勝しました。

詳しいトーナメント表は以下を御覧ください。

第3回電王トーナメント対戦結果(ニコニコ動画)

予選10位から決勝3番勝負まで勝ち上がったnozomiは、決勝でPonanzaに今大会唯一の土を付け、もう1局も優勢に戦いを続けましたが、逆転で敗れました。

対照的な勝ち上がり

Ponanzaは予選を8戦全勝の1位で突破。準々決勝(vsひまわり)、準決勝の3番勝負(vs大樹の枝)もすべて勝って決勝に進出。

一方のnozomiは、予選でPonanza、tanuki-、習甦、大将軍に敗れて4勝4敗の10位という成績で突破(突破のボーダーは12位、シードは4位まで)。決勝トーナメント1回戦ではCalamityに、準々決勝ではこの大会一番の注目ソフトである技巧のゴキゲン中飛車に対し超急戦で勝利。準決勝3番勝負では超やねうら王に2-1で勝利して決勝に進出しました。

準決勝まで12戦全勝のPonanzaに対し、nozomiは8勝5敗という苦心の勝ち上がりでした。

nozomiの特徴

Ponanzaは言わずと知れた強豪ソフト。第1回電王トーナメント優勝、第2回準優勝、今年の第25回世界コンピュータ将棋選手権でも優勝しています。

一方のnozomiは、聞き慣れないソフトでしたが、前回の第2回電王トーナメントから参加しています。前回は予選を突破し、決勝トーナメント初戦で優勝したAWAKEと当たり敗れています。

今年の第25回世界コンピュータ将棋選手権にも初参加し2次予選まで進出しています。

開発者は大森悠平さん。自分のソフトを「nozomiちゃん」と呼び、決勝3番勝負中2局が優勢になった時には「nozomiちゃんってこんなに強かったんですね」と自分の娘のようにコメントしていました。

また、大森さんは決勝戦の最中のインタビューで、Ponanzaに勝る点を聞かれて「名前が言いやすい」と述べていました。技術的なことについては以下のように、謙遜して述べていました。

大森さん「(Ponanzaに)技術的なことはほぼすべて負けています。本当にそれぐらいPonanzaの山本(一成)さんなり下山(晃)さんはすごい、いろんなことを、時間をいっぱい使ってやっていると思うんですよ。他の開発者がやっていることはだいぶ前に思いついてやられていると思う」

また、このインタビューでは、nozomi独自の強みについては自己PR文書(PDF注意)にも書いてある以下の点をあげていました。

今回は、「機械学習時のパラメーター分割でお手軽に強くなろう!」がテーマです
(中略)
機械学習の改造
• 機械学習を行う際に、KPP(玉と駒2つ)とKKP(玉2つと駒)を以下のように分割しています
• KPP = 絶対KPP + 相対KPP + 絶対PP + 相対PP
• KKP = 絶対KKP + 相対KKP + 絶対KP + 相対KP + 絶対KK + 相対KK
• KP要素についてはKPPとKKPで同じ値を使用するようにしています
• また、各駒を進める方向(前、斜め前、横など)にも分割しています

最後の1行の部分が独自の強み(本当に強みかどうかわからないらしいですが)のようです。Ponanzaの山本さんも「ああ、なるほどね」と参考にされた(?)ようでした。

山本さんは、この大会のPVでも「多分強い」ソフトの1つとしてnozomiをあげていました。一方の私(管理人)といえば、nozomiのPR文書を見て、以下の部分にばかり注目していました。反省しています。

名前はラブライブの東條希と新幹線ののぞみからもらいました

第3回将棋電王トーナメント全参加ソフトの自己PR文書から重要そうな部分を一言ずつ抜粋してまとめた記事

決勝3番勝負の結果

決勝では、同時並行で行われた3番勝負のうち2局でnozomiが先手に。戦型は、nozomiが先手となった2局がともに横歩取りに。Ponanzaが先手となった1局も相居飛車で後手のnozomiが横歩を取る展開になりました。

結果は、nozomiが先手となった2局で1勝1敗、Ponanzaが先手の対局ではPonanzaが勝ちました。

第1局 ▲nozomi vs △Ponanza 先手nozomiの勝ち
第2局 ▲Ponanza vs △nozomi 先手Ponanzaの勝ち
第3局 ▲nozomi vs △Ponanza 後手Ponanzaの勝ち

逆転の第2局

同時並行で行われた3局のうち、第1局はnozomi、第3局はPonanzaが勝勢となり、優勝の行方は第2局に委ねられました。

形勢は途中まで後手のnozomiが有望。nozomi自身の評価は1000点以上の優勢、Ponanzaも自身をやや劣勢と評価していました。第三者のソフトであるAWAKEの評価もnozomiが優勢。

ところが終盤になり、Ponanzaが逆転。勝又清和六段によると、nozomiにバグ級の悪い手があったのではないかとのこと(やねうらおさん談)。

しかしnozomiは自身の劣勢を認識できず、駒をタダ捨てする状態に。解説の千田翔太五段によると、いわゆる「水平線効果」(ある手数を超えた先までは読めないため、問題を先送りするような手を指す)が出たようです。AWAKEもnozomiの劣勢を認識できず、千田五段によると他のソフトでも同じようなことが起こる可能性が高いとのことです。

Ponanzaの形勢判断(評価値)の正確さが最後に改めて証明されました。

開発者インタビュー

優勝したPonanzaの開発者、下山晃さんは「ありがとうございます。とても嬉しいです。さすがに今回は負けたかなと思いましたが、ちょっとした評価のバランスで勝てたかなと思います」、山本一成さんは泣きそうに(もしかしてたら泣いてたかもしれないです)なりながら「全部勝つつもりだったのですが、1つ負けちゃって残念です」と話しつつも最後には「やったー!」と喜んでいました。

新生電王戦へ

同時に行われた3位決定戦、5位決定戦もあわせて、最終結果は以下のとおり。

優勝 Ponanza
2位 nozomi
3位 大樹の枝
4位 超やねうら王
5位 技巧

優勝した電王Ponanzaは、2016年春の「第1期電王戦」に進出。

第1期叡王戦決勝3番勝負(郷田真隆九段vs山崎隆之八段)の勝者との対決します。

なお、第1期叡王戦決勝3番勝負の日程は以下のように発表されています。

12月6日 東京都 国立科学博物館
12月13日 京都府 京都国立博物館
12月20日 神奈川県 陣屋

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